[在学生インタビュー]死んでも勝ちたい─だから死ぬ気で練習する。

自分史上想像以上

楽に取れたメダルは一つもない

幼い頃から競泳にいそしみ、小学校3年生でシンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)に転身。競泳を始めた年齢は記憶になく「気がついたら水の中にいた」と、物心がつく前から現在まで、水に浸からなかった日は「ほとんどない」という公門さん。
初の国際舞台は中学2年生。ユースエリート選手として出場したチェコの国際大会において、デュエットで銅メダルを獲得します。高校入学後もジュニア世界選手権、ワールドトロフィ、アジアエージ大会といった国際大会に出場。いずれも表彰台に立つ活躍をみせました。

「初めてメダルをかけてもらったとき、重いとか軽いじゃなく、それまでのキツかった過程が頭をよぎりました。いろんなメダルを取ってきたけど、楽に取れたものは一つもありません。全部しんどい思いをしたメダルです」。
これまでに獲得したメダルの数は把握できないほど。ケースに入れて飾るようなことはしないそうで、「見たら調子に乗ってしまうタイプ。過去の栄光は押し入れにしまっています」と、常に次を見据えています。

追大を選んだのは学業との両立がしやすい環境があるから。巽樹理准教授、吉田胡桃さん(2014年卒)、中牧佳南さん(2015年卒)らASの先輩たちの存在も後押しになったといいます。平日の練習は陸上1時間、水中3時間。合宿や遠征もあるハードスケジュールでも、移動中に追大のWebClassを使って勉強するなど、学業は疎かにしません。「私の競技を理解してくださる先生が多いし、皆さんが応援してくれる大学。追大に入ってよかったと思います」。

「大きく、柔らかく」美を表現

大学入学後も活躍は続きます。1年生のときナショナルBチームの日本代表選手として出場したアメリカオープンではテクニカル、フリーコンビネーション、ハイライトの3種目で銀メダルを獲得。
2年生では同じくナショナルBチームのメンバーとしてスペインオープンに参加します。「スペインオープンの練習で意識していたのはブレないこと。合宿を通して、練習に波をつくらずに毎日同じモチベーションでメニューをこなす。それはやり通せたと思います」。
結果はウクライナ、ロシアなどの強豪国が図らずもAチームを送り込んできたなか、コンビネーションで銀メダルを手にします。

世界のトップクラスと渡り合い「泳ぎ方や高さについて学ぶことが多かった」と収穫を口にする一方、「メダルに嬉しさは感じません。一つだけというのは悔しすぎます。(世界のトップが相手でも)関係ありません」と厳しい自己評価。それもそのはず。「私は負けず嫌い。死んでも勝ちたいし、負けるなら死んだほうがマシ。だから練習も死ぬ気で頑張っています」というのが公門さんのスタンスなのです。

「私の持ち味は勢い、力強さ、スピード。シンクロの時代はおもに技術面が重視されましたが、ASでは表現力も求められるようになっています。そのため、自分の持ち味を活かしながら、大きく柔らかくみせることで美の表現を意識しています」と公門さん。その「美」を支えているものは、日々の「死ぬ気で頑張る」練習。これからも公門さんは、進化を求めてプールに入り続けます。


公門 なつのさん

社会学部 社会学科 3年
井村アーティスティックスイミングクラブ 所属